2014/09/28

(No.2251): 寡黙なゲール(第四話)


「ゲール、ゲールはいずこぞ」

「はは、ここに控えおりまする」

「おおゲールよ、ときにおまいさん、
十月の十伍日なんてぇ日はどうなんだい」

「は、どう、と申しますと」

「じれったいねぇおまいは、十月の十伍日だよ」

「は、十月十五日と申されますと、えー、 
あ、あ、わかりましてございます」

「おーそうか、それでどうなんだいおまいは」

「は、わたくしはサザエのつぼ焼きをば
ご相伴に預かりとうございます」

「何を言っておる」

「は、この日は角上魚類への買い出しの日では」

「そんなもん知らん知らん、そうではない」

「申し訳ございません、あ、あ、あ、わかった、
思い出しましてございます」

「うむ、で、おまいはどうする」

「は、わたくしはやはりセパハンにするのがよろしいかと」

「何を言っておる」

「オートバイの車検の予約日では?車検ついでに
セパハンに変えるとかって」

「ぜーんぜん違うし、そんでなんでセパハンなのよ」

「も、申し訳ございません、えー、十月十五日いー
十月十五日とぉー、えー、はー、えー」

「もう、よい、ゲールには聞かん」

「あ、思い出しましてござりまする、今度は
間違いございませぬ」

「ふーん、で、おまいはどうするのだ」

「は、わたくしは行きまする、ライブに行きまする」

「おうーそうか、行くか、よし、わしもゆくぞ」

「しょこたんのライブ見たかったのでございます」

「何を言っておる」

「え? しょこたんのライブですよねZeppの」

「知らんわそんなの、しかもしょこたんライブは
十月の十二日と十三日だし日程違うわボケッ」

「重ね重ね、も、申し訳ございません、ええー
十月十五日とぉー、えー、はー、ぐぬぬ」

「もう、よいわ、たわけめ」

「すわ、はッ、ぬはッ、
今度こそ思い出しましてござりまするぞ」

「なんじゃ」

「dewey読みデューイのライブにござりまする、
場所は確か、新宿のワイルドサイド東京でございます」

「おおおー、なんと、よく思い出したな、そうじゃ、
十月十伍日はdewey読みデューイのライブじゃ、
そいでおまいは当然ゆくのだな」

「いえ、わたくしは行きませぬ、彼奴らには
まったく興味がありませぬゆえ」

「     」


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