2011/01/22

(No.1312): 昭和床屋


川崎大師から帰宅後髪を切りに。
久々の昭和五十年代床屋を訪なう。
もはや、コラムのカテゴリに
「床屋」を入れようか真剣に
検討し始める。

この床屋は拙コラムでも何度も登場した
昭和五十年代で時計が止まっている
素敵な床屋さんである。
筆者が二十歳くらいだった頃
仲間内で近所にナウイ床屋ができたぜー
なんて言ってた時代から
時間が全然進んでいない店だ。



夕刻、入店。
店主は食事中だった。
もぐもぐさせながら
ちょっと待ってて下さいといって
お茶で流し込む。

椅子に座ったすぐあとに、
お客さんが来る。
ああ珍しいなと思った。
それから5分もしないうちに
また別のお客さんが来店。

なんだ、どうなっちまったんだ。
筆者を入れて3名もこの店にいるなんて。

半年ぶりくらいではないだろうか
と思っていたが、
今日も短くていいですかと聞く。
また、覚えていたのか
とちょっとがっかりする。

寒いですけど短くしますかと
さらに重ねる。
いいです短く願いますと応える。
散髪は無言でカチャカチャと進む。

洗髪。
相変わらず、カビ臭いビニールを
かけられる。
思わず、ニヤッとする。

そうそう、そうこなくっちゃ。

前方の洗面台をカパッと開けると
流しの中に何か転がっている。
見ると、今では懐かしい
丸い洗髪ブラシが転がっていた。
あのトゲトゲがついたやつだ。
今でもあるらしいが、
これはどうみても昭和五十年代っぽい。

そうそう、そうこなくっちゃ。


案の定、このブラシでガシガシと
頭皮をやられた。
ところが、髪の毛がひっかかったのか
ブラシがコロンと流しの中に落ちた。
拾い直して、また力まかせに
ガシガシとやったら、今度は
ポーンと床まで飛んでいった。

この時ほど、顔が下向きで良かったと
思ったことはない。なぜなら、
声を出さずに顔は爆笑していたからだ。

そうそう、そうこなくっちゃ。


洗髪後、髭剃り、そしてマッサージ。
電動あんま機を取り出して
ブイーンと肩とか背中とかを
やりはじめたら、いきなり
今日はどこか行ったのですかと聞く
はッ川崎大師へお札を買いにと話す。

川崎大師って電車だとどこの駅ですか。
川崎大師の駅ってありますよね。
何線か知りませんが。クルマで行ったので。
あすこは駅から参道けっこう歩きますよね。
長いですね。
クルマのお祓いですか。
いえ毎年お札を買ってるので。
なんで川崎大師なんですか遠いですよね。
遠いです。混んでますし
親がお札を毎年買ってるもんで。
ここら辺なら高幡不動ですよね。
あっちのほうが近いですね。
クルマは中に停めるんですか。
いえ、中はお祓いするなら停められますが
普通の参拝は周りの駐車場です
朝早く行かないと物凄い混んでます。
それはたいへんですね。


まずい。
こんなに話してしまった。
これじゃ常連になってしまう。


粋な刈上げにしてもらい
ウキウキと店を辞す。
次のお客さんが名前を呼ばれている。

まずい。
次回は、
お名前はとか聞かれるのではないだろうか。
聞かれたらエフオーピーですと言おう。

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